首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

岡埜栄泉【新井薬師前@西武新宿線】

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豆大福(つぶ):120円


世に名高い「豆大福」の一大ブランドである『岡埜栄泉』。
その数多ある『岡埜栄泉』の中でトップを飾るのが、
まさか新井薬師前になるとは思いもしなかった。

そんな縁あって訪れた喫茶スペースまである新井薬師『岡埜栄泉』。
その「豆大福」は大変粉っ気の少ない姿をしており、
餅の下層に潜む赤エンドウ豆の姿までもがクッキリと確認できる。
その大きさは約57㎜と堂々の押出しで、
丸く整えてはいてもその内に秘めた赤エンドウ豆は隠し切れず、
ゴツゴツとしたシルエットを形成している。

早速取り出すそばからズイッっと沈む指先。
全体に張りがありながらも柔軟な餅の表面からは、
餅を融解して顔を覗かせる数粒の赤エンドウ豆。
当然指にペタリと貼り付いてくるが、
すぐに指を引けば以外に控えめな粘着力は直ぐに指を解き放ち、
融解先の赤エンドウ豆の元に帰っていく。
これ位の粘度なら別段気に留めることも無くイケると踏んで、
指先でヒョイと持ち上げてそっと持ってみる。

餅中の赤エンドウ豆が混入に偏りがあったり、
「豆大福」底部の包み口が結構ラフな感じだったりと、
この新井薬師『岡埜栄泉』の「豆大福」は、
その絶対的ブランド力とは裏腹に大変に自然体の佇まいで、
親しみやすさが滲み出た「豆大福」であるといえる。

そんな老舗のノンキな若旦那のような「豆大福」を、
早速に頂きましょうと一口齧れば、
グイッと抵抗を示す豆餅の弾力。
それを物ともせずグニリと噛み千切れば、
途端に口に広がる爽やかな塩気と、
それに続いて次々に波状攻撃を仕掛けてくるのが、
餅にふんだんに混入されている赤エンドウ豆の風味。

口内で一まとめに噛み締めれば、
豆餅全体が塩気を含んでいる様に感じられるのだが、
もしかしたらそれは全て赤エンドウ豆の仕業がもしれない。
それ位にハッキリと舌と鼻腔を刺激する存在感は、
ノンキそうに見えてもソコは流石に老舗のDNAを受け継ぐ者である。
例えばテレビ時代劇なら将軍の御落胤というケースも有り得る話で、
ノンキそうに見えても侮ってはイケないのである。

そんな口内を席巻し扇動して味覚の最先端に君臨する、
絶対的支配者たる赤エンドウ豆をコリコリ噛み砕きつつ、
その従順なシモベたる餅の噛み口を何気にボンヤリ眺めてみる。
うっすら塩気に支配された餅は所々厚みがランダムだが、
そんな様子も大変に自然体で好感が持てる。
コシもしっかりしていて無駄に伸びない固さを保ちながら、
挙句に中々保湿力も高めである。

その保湿の一翼を担う餡はアズキの風味も強くネットリとした舌触りで、
甘さを抑えめにして食べた後で感じる後味の引き際が良い。
この甘さが豆餅の塩気をより一層引き立てていて、
全てはあの赤エンドウ豆の為に立場を弁えた様な感じがしてくる。

さすがの存在感を示す新井薬師『岡埜栄泉』の「豆大福」。
購入した分で売り切れになったその納得の支持率が、
東京郊外であっても揺るぎ無い絶対的信頼の証であり、
長年培われてきたブランド力の成せる業である。




岡埜栄泉
東京都中野区上高田3-38-7
10:00~19:00
木曜定休
駅出口から左折した先、新井薬師駅商店会を行った信号の少し先。およそ150mの所にある角地。