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首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

銀座甘楽 本店【銀座@東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線】

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豆大福(つぶあん):206円


約55㎜の「銀座甘楽」の「豆大福」はビニール袋に入れられ売られているが、
コレが思いのほか密封するため貼られた成分表示のシールが強力で開けづらく、
気をつけないと袋の中で「豆大福」がひしゃげてしまうので、
手元にハサミなどが無い時は注意が必要である。
その困難を超えて取り出した「豆大福」は全体にシッカリと片栗粉がまぶされ、
所々で剥け切らない卵の殻の様な分厚く載っている箇所もあり鎧を纏っているみたいである。
そんな片栗粉の下に埋もれている赤エンドウ豆は大概が餅の中に埋没していて、
「豆大福」の表面にモッコリとした隆起と薄っすらとした影を浮かび上がらせて自己主張をする。
そんな「銀座甘楽」の「豆大福」を改めて指で摘んで持ち上げてみると、
表面を覆っている餅はいとも簡単にペッコリとへこんで指先へ密着して覆い尽くす。
その間に「豆大福」の中心へと侵攻する指先を食い止めるハリはこの餅に備わっておらず、
ただ為すがままにズンズン沈下をしていき「豆大福」自身も徐々に直下へとずり落ち始める。
一旦形成を整えるため平地へ「豆大福」を置いて仕切り直そうとすると、
直ぐに表面のへこみは回復して元の姿へと回帰していくそのコシの強さを目撃し、
自然と高揚していく気持ちを抑えつつ再度摘んで横っ腹から一気に齧り付く。

齧り付いた当初は柔らかな餅の食感が唇下が上下の顎へと順々に伝わり、
コレまた柔らかな「豆大福」だなぁと思いながらいよいよ噛み千切ろうとすると、
両顎で圧縮された餅は元々強かったコシを凝縮して強固な壁となり、
突如として餅の奥底から強靭な弾力が歯に伝わり不意を突く抵抗を示してくる。
とはいえ想定出来る程のコシは触診からも判断できる訳で、
ちょっとばかし引っ張った位ではビクとも微動もない感じで強固。
なので力を込めて引き千切るようにグイッと強引に伸ばせば、
内包する粒餡がモコリとハミ出させながらブチリと音を発して分断される。
噛み口を見れば眩いばかりの光沢を放つ水気も申し分なく、
クニクニと咀嚼を繰り返せばやがて仄かな甘さも湧き出してくる逸品である。
とはいえどれ程の抵抗を示そうともソコは餅。
柔らかく押し潰されれば内包している餡は必然的に表へと追いやられ、
手薄となった所から次々に零れ落ち転がり出し、
同時にその濃厚なアズキの風味と濃密な甘さを口内に満たし始める。

ネットリとした舌触りでエッジの効いた甘さを湛えているが、
ソレを超えて押し出されるアズキの風味の濃厚さが際立った粒餡の主張が始まる。
アズキの粒感と皮のシャキシャキ感を、
水気が少なく粘度の高さを駆使して舌に絡まり付いて浸透させて、
口内を一気にアズキ一色に染め上げて行く脅威のカリスマ性を発揮する。

そんな事されたら人間なんてイチコロである。
意志では抑止出来ない生理現象で口内は水気を増して餅は柔和に融解し始め、
餡がもたらした甘さから醸し出す反発力を超越した力で支配される。
そして徐々に揉まれ刻まれ混ぜられを繰り返した果てに、
ソコに赤エンドウ豆の硬質な歯応えが合流して見事なアンサンブルを生む。
ブチンと弾けた歯応えで種皮が破裂するとほんのりと漂う塩気と、
その奥の方で鮮やかに浮かび上がってくる赤エンドウ豆のコクと柔らかな甘味。
硬めに仕上がったコノ赤エンドウ豆はコシの強い餅の中にあっても没することなく、
その触感と歯応えでもって口内のアクセントとしての役割を誠実に全うして、
やがてソレは美しい食べ心地となって脳へと信号を発信するのである。
そして愛おしみ慈しむ様に咀嚼を繰り返した後にゴクリと飲み下せば、
残るのは鼻腔を満たすアズキの風味と広角から零れ落ちる片栗粉だけとなる。

柔らかの中に芯がシッカリ通った様なハリを併せ持つ「銀座甘楽」の「豆大福」を
更に半身を口に放り込んでモギュモギュと噛み締める。
確かにコレ程のハリを持ているならばと多少開けにくい袋にも屈する事は無いが、
何かと力任せで物事に対する身としてはその挙動を顧みる良い機会であったと、
途中で諦めて袋の中で“梅ヶ枝餅”の様になった「豆大福」を眺めながら思う次第である。


銀座甘楽 本店
東京都中央区銀座6丁目2番地先(銀座コリドー通り)
月~土曜 10:00~21:00
日・祭日 10:30~19:00
年中無休
C2番から出て有楽町方面へ向かって直ぐを左折して直進して2つ目の十字路を右折した先。