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首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

菓匠雅庵【池尻大橋@東急田園都市線】

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豆大福(つぶあん):172円


店先に「豆大福」の幟がはためく「甘味処 白樺」で売られているのは、
店頭商品棚にある表記によれば「大福」との事。
全長約58㎜もあって挙句高さもシッカリあって比較的円筒形に姿は、
例えるなら巨大なエアキャップを一つ切り出した感じであり、
その外側を砂糖衣の様にツルリとした質感の餅が少しの透明感を発しながら包まっている。
そしてソコに「大福」でありながらシッカリとアノ黒々した影が浮かんでいて、
コチラ「甘味処 白樺」が「大福」とのたまう商品の表面に斑点状に、
其処彼処に点在し散らばっているのがハッキリと解るのである。
どう見ても「豆大福」である。

そのあくまで「大福」を名乗るソレには天頂部には薄っすらと、
側面部と底面部にはシッカリと片栗粉がまぶされ、
所々で塊が衝突痕の様にへばり付いてまだら模様を形成しつつ、
全体的には鱗粉状に薄っすら毛羽立ちながら微細な光沢を浮かべている。
ソレを指で摘んで持ち上げてみると指先にはサラサラとした片栗粉の感触が伝わり、
やがて指先の周りをペコリとヘコませてシットリとした質感の餅を押し付けてくる。
柔らかな餅は指先の位置により中に液体が詰まっているみたいな感触とともに起伏を繰り返し、
ソレがまるで中の餡が流動している様な錯覚を起こさせ、
そして指を離せば直ぐに元の形状へと戻る姿はそれ自体一個の生命体の様である。
その姿その質感と容姿から不意に脳裏に浮かんでしまった、
円らな瞳のジャンガリアンハムスターを必死に振り払い急いで一口齧り付いてみる。

齧り付くと先ずは餅の存在と感触が真っ先に伝わり行く手を阻む。
あからさま判るその分厚い質感の壁に前歯を突き立てて一気に力を込めれば、
やわらかな餅はエナメル質に吸着して力の分散を図る。
負けじと更に圧を加えてやると歯先で密は極に達し、
ソコからブリっという感触を残し分断される。
分厚く餡を包む断面は蝋細工の様なヌメッとした質感を湛え、
細かいウロコの様な光沢が金粉が流るかのごとく輝いて、
ソレをクニクニと噛み締める度に強くなる米の風味と甘さが舌に染みわたる。
ハリ自体もまた強力で引き伸ばすとコチラを拒絶る様な反発を披露し、
ほどほどに伸びた所で突如ブチリと千切れるのであった。

一方、その間際に一瞬だけ内部から甘い香りが口内へ漏れ出すが、
圧が加わった餅は直ぐに互いで密着して内部を再び密封、
結果的に口内に小玉の「大福」をこしらえるという運びとなった、
その驚愕の粘りを発揮する餅は暫くは傍若無人に口内で好き勝手に振る舞い、
ひたすらモグモグとご機嫌を取るように咀嚼し続けると、
端々で時折その餅越しに浮かび上がる丸くて硬い質感のアイツが現れる。
ほんのりと塩気が効いた赤エンドウ豆は噛み砕かれる際にその塩気と、
ソレに呼応するかのように野菜的な青い風味を一気に発散し、
その後には子葉部分から漂う濃厚な赤エンドウ豆の風味が広がる。
その多くは餅内部に潜んだままゴリゴリと噛み潰されてゆくが、
その身を挺して形成した空間を足掛かりに餅は破綻を始め、
終には内包していた餡の外部流出という事態を許してしまうのである。
スッキリとした甘さがアズキの風味と食感とともに舌に伝わる。
皮のシャキシャキと子葉のサラサラという粒餡の2大要素が、
ネットリとした食感を伴って口内の隅々を席巻していく。
やがて水気の少なかった粒餡は口内で十分な水気を得て滑らかな食感へと変化し、
餅に絡まるとその影響下において更に甘さを増幅させていく。

やがて自慢の弾力がすっかり鳴りを潜めた餅は、
正しくモチモチとした優しい食感に変わり最早なすがままの状態になり、
最後にはスルスルと口内奥へと流動を始め終には胃の腑へと収まるのである。
「大福」名義ながらシッカリと“豆”が主張するこの「甘味処 白樺」の「大福」には、
もはやその区分けすらも無粋に感じられる圧倒的な存在感を醸し出す逸品である。




菓匠雅庵
東京都目黒区東山1-13-4
10:00~18:00
日曜 定休
東口脇の道を入り9コ目の十字路を右折。その後の交差点を左折後道なりに進んだ先。徒歩約10分。