首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

よしだや餅菓子店【清澄白河@東京メトロ半蔵門線 都営地下鉄大江戸線】

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豆大福(つぶあん):160円


「よしだや餅菓子店」で定番と云えば「塩大福」であり真っ先に勧められる商品である。そしてソレに負けない位に支持を得ているのが「豆大福」である。
さてそんな「よしだや餅菓子店」の「豆大福」であるがその印象を一言でいうなら“緑色”である。
全長は約60㎜あり比較的大きめでちょっと扁平した形をしていて、
パリパリのビニール袋の中にスッポリ納まっているその時から、
理由は不明だがナゼかしら“緑色”を帯びて見えるのである。
確かにビニール袋には緑色の文字で商品名が記載されてはいるが、
そんな単純な事で印象が左右されている訳では無い。
事実ビニール袋から取り出した「豆大福」に対する印象も一切変わらない。
不思議だなぁとシミジミ思いながらもそのゴツゴツした風体の「豆大福」を更に眺めてみる。
見た感じから発する手作り感に拍車を掛けるように正面にボコボコと突き出た、
大量の赤エンドウ豆が造り出す輪郭が「豆大福」にしてはかなり厳つい雰囲気を醸し出す。
その上にコテで塗り込められた漆喰の様な片栗粉が造り出す流れる様なラインが幾重にも重なる。
そしてその下地たる餅はといえば片栗粉の白さを受けてより一層の“緑色”を発揮している。
よくよく見てみれば餅の下に薄らと浮かぶ餡の影が餅自体の厚さの加減により、
複雑な模様を造りだしていることが確認できる。
きっとソレこそがこの「豆大福」を“緑色”方向へ印象付けているのだろう。
そんな「豆大福」を手に取ってみると餅はシッカリとしたハリを保持しながら指先を押し返し、
その一方で内包された餡が柔らかすぎるのかそのハリを保ったままで、
摘まんだ指先により左右から餅全体が押しつぶされどんどんと俵型へと変容していく。
このままではムンクの“叫び”のようになってしまいかねない「豆大福」を眺め、
表層の赤エンドウ豆から滲み出た水気が周囲の餅と片栗粉を融解し始めた事だしと、
さっそくその扁平し出した所から一口齧り付いてみる。

強いハリを発揮する餅を一気に押し潰し分断しようと試みると、
「豆大福」は僅かな反発を示しただけでアッサリと両断され口内へと収まる。
クニクニとした噛み心地の餅はそのハリの中に程よいコシを湛えている。
その餅自体からは甘さと塩気のせめぎ合いが噛む度に繰り広げられ逐一舌に伝えてくる。
不均等な厚みと保持した水分は粘りを生み食感にアクセントと彩を与え続け、
その時から餅越しに伝わる赤エンドウ豆の存在感は、
丸くてコロコロした感触を口内の至る所に押し付けるという強烈な自己主張を繰り返す。

そんな赤エンドウ豆を他所に噛み口からはまろやかで優しい甘さが、
じんわりと流れ出る様に口内の隅々に染み渡る。
ネットリとした舌触りで柔らかく優しい甘さの中にアズキの風味を凝縮したような粒餡は、
滑らかな食感を如何なく発揮して口内全体を浸食し始める。
その際に発する甘さと香りとそれだけではないクセの様な個性が舌を刺激する。
粒餡が発揮する拡散し始めた芳香を逃すまいと急いで追いかけ咀嚼を始めると、
餅はハリを保ちつつ細かく千切れソコからいくつも赤エンドウ豆がこぼれ出す。
その結構な量の赤エンドウ豆は必然的に奥歯が律動を繰り返す最深部へ流れていき、
次々となすすべなく粉砕されその風味を口内へ放出していく。
硬い種皮をコリコリと噛み砕くとほんのりとした塩気の後、
赤エンドウ豆の濃厚な風味と甘さが咀嚼を繰り返すたびにどんどん強くなってくる。
そんな「豆大福」を全て口内へ放り込めば餅と粒餡と赤エンドウ豆はシッカリと融合を果たし、
やがて深い味わいを築き上げやがて雲が流れる様に胃袋へ収まっていくのである。

そんな「よしだや餅菓子店」の「豆大福」をモグモグと食べ進めるも、
ソコには“緑色”的なナニかを彷彿させるようなモノは終ぞ現れず、
終始まろやかな風味が豊かないろどりで染め上げていくのみである。




よしだや餅菓子店
東京都江東区白河4-1-3
8:30~19:30
木曜 定休
B2出口から清洲橋通りを右へ進み、白河三丁目交差点を渡り右折した少し先。