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首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

越後家【浅草@つくばエクスプレス】

つくばエクスプレス 豆大福 台東区 こしあん

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豆大福(こしあん):200円


浅草『越後家』の「豆大福」は、直径が74㎜に迫る大きさ。
透明のビニール袋に、丸くて平たい身体を潜ませる。
その様子はさながら、おしろいたたきを彷彿とさせる。
すなわち、その姿は真っ白い。
特に海苔巻き等が並ぶ店先では、この「豆大福」は一段と輝きを増す。
まるで商品棚の一画だけ、灯りが燈った様な白さだ。

先ずはビニールから取り出す。
手に取るとドッシリ重たい自重が、ビニールをバリバリ鳴らす。
目の前に現れた「豆大福」には、広大な広い平原が広がる。
久々に見た“おむすび”大の巨躯である。
ソコには三つの色味が、思い思いの様子で彩りを添える。

真っ白な片栗粉は「豆大福」の外層を、シッカリ覆い隠す。
そしてムラが出来る事で、レース編みの様な模様を描き上げる。
白く小さな塊は幾つも表層に散り、花畑の様な光景を生みだす。
そして全体を霞の様に薄く、細かい光沢を散りばめ、ベールの様に包み込む。

その白が覆う間で淡く、焦げ茶色の豆が姿を映す。
豆大福」の表面で濃淡も様々に、縦横無尽に散らばり、白の中に色彩を加える。
表層近くでは餅を盛り上げ、細かい表情を「豆大福」に与える。
中でも餅から飛び出た豆には、一斉に片栗粉が取り囲み、濃い色味を中和して見せる。

その全てを支える土台の餅は、淡い黄に青味が差した色合いを湛える。
だだっ広い「豆大福」の表面を、ゆったり包み込んでいる。
白く広がるなだらかな稜線には、豆達の作る小山だけがポチポチ浮かぶ。
その下には秘めた潤いが見て取れる。
白い片栗粉が覆い隠しても、表層に生まれた透明感は隠せないのだ。

最早摘まむというより、鷲掴みに近い感覚で、巨大な「豆大福」を手に取る。
想像以上に柔軟な巨躯を、指の間でクネクネ捩じらせた。
餅が歪み始めると同時に、身を絞る様に「豆大福」が変形を始める。
指先で押し込まれた餅の周囲には、同心円状のたわみが出来上がる。
そうして遂に、巨大な「豆大福」は安定し、指先にはタップリ荷重が掛かる。
接地点では片栗粉が滑らかに動き、サワサワ流れて危うさを醸し出す。
シッカリ捕える為に力を込めると、餅はフヨフヨ揺れて震える。
強かなハリと、その奥の流れる柔らかさは、不意に水風船を思い出す。

齧り付いても当然デカい。
大口を開けて喰らい付くと、直ぐに顎は動きを止める。
歯の先には強靭な弾力が、一面の壁となり立ち塞がる。
片栗粉で滑る「豆大福」を、唇は捕らえ切れない。
ならばと前歯を餅に食い込ませ、奥深くへ射し込んでゆく。
次々現れる豆を掻き分け突き進むと、やがて無抵抗の空間へ辿り着いた。
ソコから先は滞り無く、引きずり込まれる様にスイスイ進んでゆく。
そのままアッサリ「豆大福」は噛み千切られる。

今や口の中は、綿を詰め込まれた時に似た、強固な弾力で満ちている。
顎を動かすとツルツル空廻る餅と、中から絞り出される餡子が絡まる。
口の中に貼り付いた片栗粉が、滲み出る水気を食い止める。
一方で「豆大福」から、粘り気のある“こしあん”が参戦を果たす。
ニュルニュル押し出され、空いた隙間へ柔軟に入り込む。
舌の上にモッタリ乗って、やがてトロンと広がる。
ハッキリした甘さにはキレがあり、後味もサッパリと潔い。

やがて成す総べなく揉みくちゃにされ、餅が奥歯で弾み始める。
当初は衝撃を受け止めた餅も、やがて成す総べなく伸されてゆく。
そして餅は徐々に薄くなり、次第に細切れに変わる。
粘り気も伸びも十分に備え、噛み続けると米の風味が爆発する。
その中でしきりに、硬く丸い食感が存在感を発揮する。
淡い味わいの中で、青味を伴った土の香りが強烈に漂う。

やがて、餅の粘りと餡子の粘りが混ざり、口の中を密閉する。
空気の流れが断たれ、さながら水中に似た閉塞感が、口一杯に広がりだす。
本能で空気を欲する脳には、溺れる様な緊迫感が奔る。
咄嗟に口を開けて素早く換気を終え、更なる咀嚼に勤しむ。
餡子はトロトロ流れ、餅を連れ去りながら、ツルツル喉を通り過ぎる。
後には鼻腔を満たす米の香りと、舌先を掠める澄んだ甘さが漂う。



越後家
東京都台東区西浅草3-14-8
7:00~15:00
月曜 定休
出口Bに出て、浅草ビューホテル脇の道を入る。その先にある二つ目の十字路の一軒手前。

御菓子司 瑞月院 飯田橋本店【飯田橋@中央本線 東京メトロ東西線・有楽町線・南北線 都営地下鉄大江戸線】

中央本線 東京メトロ南北線 東京メトロ東西線 東京メトロ有楽町線 都営地下鉄大江戸線 豆大福 東京塩豆大福 火乃塩 粒あん 千代田区

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東京塩豆大福 火乃塩(粒あん):216円


飯田橋『御菓子司 瑞月院 飯田橋本店』にも「豆大福」が売られている。
品名は「東京塩豆大福 火乃塩」と長い。
真っ白な長方形の姿で、台座の上に横たわっている。
ソレを包むビニール袋は厚く、手に取るとバリバリと、硬い音を響きかせる。

鋭利に尖る端からビニールを裂く。
台座ごと引きずり出された表面には、ビッシリ片栗粉が固着している。
小さな塊が寄り集まり、ソレが重なり合い層を築く。
なので片栗粉だけで、至る所に段差が出来ている。
それが長細い「豆大福」に、ビッシリ貼り付いているのだ。

その「豆大福」は、実際の姿は筒型である。
全長は約72㎜で、分厚い餅が餡子を包む。
それは色の白さも相まって、さながら枕の様だ。
中央部分は丸く膨らみ、両端は押し潰され扁平している。
横に伸された両端の餅の間から、淡い藤色の餡子が食み出す。
その光景は、まるで舌を出して微笑んでいる様だ。
そうなると不意に、餡子に被る片栗粉が歯に見えて来る。
餅は片栗粉の剥がれた個所からも窺える。
象牙色の色合いに、滑らかな肌理を湛えているのが見える。
ソコに片栗粉を被ると、サテンに似た様子を湛えだす。

そして所によっては、ぼんやり淡い影を浮き上がらせる。
本当にぼんやり、うっすらと、くすみの様な影だ。
何せ「豆大福」全体を、片栗粉の圧倒的な純白が輝かせる。
その光の中では豆の黒さなど、太刀打ち出来る筈がない。
挙句に分厚く表面を塗り固めている。
僅かな豆の凹凸すら、見つけるのが困難なのだ。
とはいえ、豆が入っている事は確かだ。
台座の裏にある、原材料の欄にも記載がある。

摘まみ上げると指先には、サクサク片栗粉が弾ける感触が伝わる。
何かを踏み抜いた感触の奥で、柔軟な弾力が衝撃を受け止める。
進攻を続ける指の周りでは、耐え兼ねた大量の片栗粉が、バラバラ剥がれ落ちてゆく。
しかしその後少しして、大きな変化は起きない。
ただジワジワ両端が垂れ下がり、お辞儀を始めるだけだ。

なので急いで横から、咥える様に喰らい付く。
あっと言う間に、口の中が片栗粉で塗り固められる。
その中で餅粉の香りを振り撒いて、華麗に餅が踊りだす。
質感のある泡を噛み締める様に、舌先でフカフカを撫で回す。
しかし咀嚼自体は何とも要領を得ない。
顎はスルスル空回り、餅を捕らえるのに一苦労である。

その間に舌には弾ける塩気が押し寄せる。
強かな甘さを押し退けて、一気に味覚を制圧してゆく。
押し出された餡子が浸透して、ゆっくり勢力を押し広げる。
やがて塩気に翻弄さ続けた味覚が、口の中へ水気を呼ぶ。
その果てに緩くなった片栗粉は、今度は潤滑剤として、咀嚼補助の役割を果たす。

自由を手にした顎は、勢い任せて餅を突く。
ほんのり甘さが舌に届いた直後、怒涛の勢いで塩気がやって来る。
粘りや伸びもあるが、何よりその強靭なコシが顎を揺らす。
ひたすらグニグニ噛み続けると、塩気を越えて甘さが盛り返して来る。
その間は、餅粉特有の香りが鼻腔を突き抜ける。

そして当然の事、餡子にもしっかり塩気が漂う。
アズキの皮が歯応えを生む中で、サラサラ舌を擦り抜ける感触を感じた。
“つぶあん”の表情を見せながら、ソレを越えた滑らかさを発揮する。
ネットリした口当たりも、水気を得たらトロトロに変わり、舌の上を流れ落ちる。

幾度も繰り返す咀嚼が、やがて餅と餡子を混ぜ、ひとつに纏める。
ネットリと絡み付く食感が広がり、強かな荷重を掛ける。
その中でしきりに硬い塊が現れ、プツプツ弾けては、次々粘りの中へ取り込まれて行く。
圧倒的な餅と餡子の主張を前にしたら、赤エンドウ豆の姿も霞む程だ。
確かな噛み心地を持つ赤エンドウ豆は、ほんのり香りを漂わせる。
直ぐにモロモロ砕けて、終いには粉の様に微細になってしまった。

今や口の中は、弾力と粘りの渦で満ちている。
その中で、甘さと塩気の渦がせめぎ合っている。
渦が渦を呼ぶその様相は、まさに鳴門の渦潮に劣らぬ勢いだ。
その渦がせめぎ合うまま、次々に喉を通過してゆく。
顎に残った弾力の感触と、漂う塩気と甘さの記憶が刻見込まれる。


御菓子司 瑞月院 飯田橋本店
東京都千代田区飯田橋3-2-10
[月~金]9:30~19:30 [土・日・祝]10:00~18:00
無休
A5出口に出て、目白通りを九段下方面へ向かう。飯田橋三丁目の信号を渡り、最初の左折りに入る。十字路を越えた先の通りを右へ。

亀屋【経堂@小田急小田原線】

つぶあん 小田急小田原線 世田谷区 豆大福

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豆大福(つぶあん):100円


経堂『亀屋』の「豆大福」が、ビニールに中で白くけぶっている。
細かい片栗粉が吹雪いて「豆大福」を取り巻く。
その中で「豆大福」は低い姿勢で佇んでいる。
まるで吹雪が通り過ぎるのを、じっと耐えて待つ姿の様だ。
餅の表面には幾つも豆が突き出て、霞の中でぼんやり浮かぶ。

手に取ると、柔らかいビニールの向こう側で餅がへこむ。
柔らかい質感が伝わり、指先を優しく覆う。
その間でビニールと片栗粉が滑り、「豆大福」が奔放に動く。
裏返して『亀屋』と記された緑色の封を解く。
ビニールは透明の花弁となり、ゆっくり咲き始める。

白い霞から現れた「豆大福」は、大きさ約60㎜。
表面がなだらかにうねり、全体に起伏に満ちた佇まいだ。
餅は裾では薄く黄味掛かった色味を湛えている。
ぞれがしなやかに伸され、ゆったり「豆大福」を形作る。
薄くなった餅に、中に潜んだ餡子の色が淡く透ける。

少し灰色が差した餅の中で、豆も鮮明に姿を晒す。
薄く伸された餅の中では隠れ様も無い。
表面に浮き出た豆達は「豆大福」で、丸い突起になる。
一方で、餅の中に潜んだ豆達も、欠かさずしっかり主張する。
突っ張った餅は擦りガラスの質感で、豆が放つ赤紫色の影を映す。

そして、それら全ての上を片栗粉が覆い尽くす。
強固な白で「豆大福」の至る所を塗り込める。
吹雪を閉じ込めた様な、荒々しい軌跡が刻まれる。
裾に貼り付いた片栗粉が、頂部へ向かって氷壁を作り上げる。
雪原を彷彿させる餅の表面に、幾筋も風紋が走る。
打ち付る片栗粉が貼り付き、豆を樹氷に変える。

餅のハリは強く、摘まんだ指先を跳ね返す。
空廻る指の腹では、片栗粉がキュッと鳴く。
指先を「豆大福」へ押し込んで、摘まみ上げる。
餅を越えて「豆大福」全体が歪み、一斉に片栗粉が崩落した。
柔らかくたわんだ餅の先で、硬く詰まる餡子の核を捕らえる。
そんな身持ちの良い「豆大福」に、真っ向から喰らい付く。

豆大福」の表面で、餅がゆっくり沈む。
強固なハリが、圧し掛かる唇を弾き返す。
片栗粉の滑らかな感触が、唇と餅の接近を阻む。
ならばと歯を立てて、「豆大福」を押さえ込む。
突き立てられた前歯が食い込み、餅が切り裂かれる。
強い弾力の果てに噛み千切られた「豆大福」が、口の中へ収まる。
噛み口からは濃密なアズキの香りが漏れ出す。

舌の上では、降り積もった片栗粉が、周囲の水気を吸い込む。
整えられた舞台の上に餅が躍り出る。
口の中で弾む餅が縦横無尽に歯の間を行き交う。
強い抵抗で伸び、爆発するように千切れ、密やかに縮む。
ソレを何度も繰り返すと、食感に次第に変化が生まれる。
やがてソコに米の存在が、穏やかに顔を出し始めるのだ。

舌が動くと餅がうねり、中から餡子がユルリと現れる。
顎を動かして餅を噛むと、中では豆が潰れて歯応えを生む。
豆はお馴染みの赤エンドウ豆。
柔らかく仕上がって、クシクシと潰れると、ふんわり塩気を放つ。
塩気の後に着いて漂うのは、豆に詰まった素朴な甘さだ。
植物的な青味を纏って、鼻腔まで一気に上昇する。

そして餡子は餅に絡まり、弾力の中に粘りを芽吹かせる。
柔らかいが強い粘り気もあり、餅や舌や歯に良く絡む。
その粘りに組み敷かれた舌がもがく度、餡子は隙間へと入り込む。
アズキの香りは濃厚に充満し、甘さは密やかに舌を振るわせる。
ソコにアズキの甘さが見えると、思わず口の中は嬉しい混乱に陥る。

餅が粘りを発揮する中で、豆の硬さが効果を発揮する。
モチモチと続く噛み心地の中で、プチッと異質な感触が加わる。
その食感が変拍子となり、プログレッシブなリズムを奏でるのだ。

そのリズムの上を、餡子の甘さが響き、アズキの香りが乗る。
豆の塩気は閃光の様に煌めき、味の流れに表情をもたらす。
そして“つぶあん”という特性が、舌へ刺激を加える。
やがて「豆大福」は、緩やかな波動に変わる。
舌の上をアズキの皮が、サラサラと掻いて駆け抜けてゆく。
その後を追う様に粘りきった餅が、細く伸びて口の中を横切る。
そして残響の様な後味が、舌や鼻腔に漂い続ける。

美味しさ、幸せ、みんないっぱい亀屋のお菓子。
その信念の元、創業昭和13年の老舗が作る「豆大福」である。
伝統の中に“美”が生まれる。
老舗が作る御菓子でも良くある事なのです。




亀屋
東京都世田谷区宮坂3-12-2
10:00~20:00
水曜 定休
北口に出て、経堂すずらん通りへ入った直ぐ。