首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

金海堂【大森@京浜東北線】

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黄金豆大福(つぶ):155円


『金海堂』の「豆大福」は名称を“黄金(こがね)豆大福”と言い、
ビニール袋に表記された材料の項目には“こがね餅米”と記されてある。
つまりこの「豆大福」は“こがね餅米”ありきで存在している、
餅主体の純「豆大福」、Pure「Mamedaifuku」という位置に在る訳である。
その容姿も正統派「豆大福」と云える佇まいで、
掌に馴染む6㎝超の大きさと程よく圧し掛かる重さが
お値段以上のお得感を感じさせる。

餅に潜んだ赤エンドウ豆は程々の数が散りばめられ、
傍から見ればビニール袋の中で小さなブチ猫が、
ぐるんと丸まっている様な姿を思わせる。
その赤エンドウ豆が薄ら纏った片栗粉を融解させて、
所どころ顔を出しているのは水気が多いが故だろうか。
そして、その赤エンドウ豆周囲の餅は影響をモロに受けて、
生み出された時の姿を彷彿とさせる粘着力を発揮。
ビニール袋から取り出す際に指のアチコチにペタリと引っ付き、
いざ食べようと逸る気持ちにチョッカイを掛けて来る。
更にその予想以上に柔らな餅は指の間へと次々侵攻を始め、
まさかの「豆大福」が繰り広げる予想外の反抗に慌てふためく。
急ぎ「豆大福」を持ち替えようとする手にも、
再び執拗に指へと貼り付く餅に悪戦苦闘する様は、
深夜のテレビで観た『マックイーンの絶対の危機』を彷彿とさせる。
しばらくの格闘後にようやく体勢は整い待望の一口目を繰り出す。

当然柔らかい。
ブニャリと緩んだ皮の厚みは程々で、
噛んで引っ張れば大層良く伸びる。
そして伸び切ってだれる前にブチッと千切れて
餅本体へ引き戻されるという、
実に活きの良い餅である。

そんな柔らかな餅の中にあっても零れ落ちずに纏まっている粒餡は、
ツヤツヤに輝きを放つ『金海堂』こだわりの自家製餡。
アズキの風味も存分に閉じ込められ、
キリッと口内に広がる甘さが柔らかな餅の存在と
赤エンドウ豆のほんのり香る塩味を更に引き立てる。
食べ進める程に柔らかい餅は益々姿を失い、
表面をグニャリと波打たせるのに中の粒餡の保持率は中々に良い。
そんな絶妙の粘りと滑らかさと結束力を誇る粒餡の会心の甘味を口に湛え、
掌に於いてもいよいよ行き場を無くし、
ただの豆餅へと変貌を遂げた残りを口に放り込む。

古い看板を掲げた結構新しめの店舗に、
土産物屋の特産品の様に並べられた「豆大福」の柔らかさは、
店番をしていたおばさんの笑顔にも現れている。
そんな事を思いながら“くつろぎ 和菓子”の謳い文句のとおり、
圧倒的満足感に身体を埋めて一人のんびりと和菓子でひと時をくつろぐ。




金海堂
東京都大田区山王3-1-3
9:30~20:00
火曜定休
駅西口から池上通りを蒲田方面に進んだウィロード山王商店街のアーケードの並び、大森駅から582mの所。