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首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

和菓子 藤屋【沼袋@西武新宿線】

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豆大福(つぶあん):125円


「和菓子 藤屋」の「豆大福」はちょっと見四角い。
約53㎜と若干小さめの次郎柿がそのまま干し柿になった様な姿で、
店頭の陳列棚にズラリ並んでいる時から気持ち四角い。
購入して持ち帰りのプラスチックケースに納まって更に四角さを増し、
ビニールに包まれたソイツを手に取ってやると指の力をモロに受け、
健気に丸みを保っていた側面は指の形のままボッコリ窪み、
ただでさえ四角かったその姿に更に拍車を掛けていく。

そして自重に負けてズルズルと垂れ落ちて行く本体を手の平に受け、
改めてビニール越しに見る「和菓子 藤屋」の「豆大福」は、
ビニールに接した個所に片栗粉の雲に浮かんだ台風の目の様に、
餅に身を潜めた赤エンドウ豆からの水分を受けて黒い影を作り出し、
ソレを「豆大福」の周囲に至る所で発生させている。
ビニールには余分な水滴は付いていないが急いで取り出すに越した事はないと、
先ずは慎重に覆っているビニールを剥ぐ。
結構厳重に封をされた「和菓子 藤屋」の「豆大福」に手を焼いていると、
その悪戦苦闘の影響をモロに受け襲いかかる外圧に成す総べなく変容を繰り返す。
飛び散る片栗粉を物ともせず苦心惨憺の末にやっと取り出し目の前の物体が、
ちゃんと「和菓子 藤屋」の「豆大福」の姿を保っているその内に、
横っ腹を指でつまんで持ち上げて前方斜め下の方向から近付いて一気に齧り付く。

表面を覆う片栗粉が口角からボロボロと零れ落ちる。
これまた柔らかい「豆大福」である。
口一杯に頬張った柔らかなカタマリは滑らかに舌に乗っかった後に、
すぐさまデロンと押し広がり柔らかな触感と甘い香りが波状攻撃を始める。
餅と粒餡はその区別が付かないままに絡まり混ざり咀嚼されると、
やがて口の中を一杯に満たしてしまったのである。

噛み口を見ると水気を湛えた層が幾重にも出来ていてソコからキラキラと光沢を放っている。
月白の餅は自身の柔らかさを証明する様な滑らかで当然コシも強い。
良く伸びて弾力もあり奥歯を相手に力負けしていないし、
米の風味もホンノリと香ってきて自力のある所を見せ付けて来る。

その餅に追従している粒餡は瑞々しくて甘味も力強いが癖が無いのでキレも良く、
餅と絡んでアズキの風味と甘さを際立たせて口内の隅々まで一気に浸透させていく。
そしてこのモタッとした食感の粒餡の中にはアズキが姿を保ったまま混在していて、
時折舌の上にゴロリと飛び出てアズキの風味を振りまいて行く。

そこに僅かなノイズの様に異質な触感を持った丸い物体が現れるが、
この赤エンドウ豆が結構柔らかめに作られているので、
少し抵抗を示しただけで次々に奥歯が繰り出す攻撃の前にまさに砕け散り、
餡の中で健在だったアズキの粒と手を取り合って食感のアクセントを生み、
やがて口内で猛威を振るう柔らかな甘い嵐の中に消えて行く。
この穏やかな赤エンドウ豆自体はほんのりとした塩気を発しており、
後から本来持ち合わせた赤エンドウ豆の優しい風味が徐々拡散していく。
種皮自体は少し硬めだが噛み砕けば容易に粉微塵になるし、
中は滑らかで大変にやわらかく餅と粒餡に容易く溶け込んでしまう。

そもそも持つのもひと苦労な位に柔らかな「和菓子 藤屋」の「豆大福」ではあるが、
その柔らかさは食べてみるとその予想の上を行く程であった。
餅と粒餡は最初から一体であったかの様に融合していて、
それでいながらお互いが持ち得る風味を明確に放出して口内を蹂躙していく。
そして今だ健在な赤エンドウ豆を従者の様に巡らせて周囲に巡らせて、
咀嚼の度に柔らかく甘い嵐は更に滑らかさという能力を手に入れるのであった。
その守護者達を次々に噛み潰していくと濃厚な風味を撒き散らし、
口内の猛威を振るう嵐にまた別の風味が加わり更に進化していくのである。

良いように「豆大福」に弄ばれた2月の終わり、
最近の寒暖差に身を苛まれながらも買い求めた末に、
更に甘い嵐の猛威に身を晒しながらその柔らかさにも翻弄されたのであった。




和菓子 藤屋
東京都中野区沼袋3-26-11
10:00~20:00
木曜 定休
北口から出て右に折れ商店街を進む。徒歩30秒。