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首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

ニコニコ家【上町@東急世田谷線】

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豆大福(つぶあん):150円


ちょっとばかし開けにくいビニールに包まれている「ニコニコ家」の「豆大福」は、
約54㎜の大きさの表面に線香花火が弾けた様に片栗粉を貼り付かせている。
その模様は表層部分に埋もれている赤エンドウ豆にも分け隔てなく影響を及ぼし、
餅越しに浮かぶ黒い影に被さる雪輪模様は宛ら御影石でこしらえた玉の様である。
餅自体のハリは柔らかで指先で摘まめばしっくりと沈みピタリと指先に密着して、
片栗粉を通して伝わって来るしっとりとしたその感触はひんやりとした冷気をもたらし、
以外にズシリと重たい自身の比重を受け止めて置き所を探る様にジワジワとにじりだす。
やがて中空に摘まんだ指の間でしっくりと落ち着き始めた「豆大福」を、
正面に見据えその横っ腹に思いっきり齧り付いてみる。

その余りにも強靭な餅のコシが噛み付いた反動をそのままコチラへ向けて跳ね返すと、
表面で咲いていた片栗粉の花は散り膝元へとポタリポタリと剥落を始める。
突如として受け止められた前歯達は再び進行を始める為に、
再び餅の内部へと切り込んでゆくが想像以上の弾力が行く手を阻む。
難敵「ニコニコ家」の「豆大福」が纏う餅のコシを前に少々立ち往生の後、
コチラとしては進む以外に道は無いので内包物の漏洩も覚悟の上で、
強行にその柔らかいクセにコシが強い魔性の様な餅にキリキリと歯を当てる。

上下の歯が交錯してようやくブチリブチリと食い千切れ始めた餅の中で、
ゴリゴリと砕ける赤エンドウ豆の感触が分厚い餅越しに伝わって来る。
硬い豆の種皮が破れる感触がしたにほんのりとした水気が漂い、
それと同時に舌先から口内全体を駆け抜ける様に、
栗の様なコクとほんのりと漂う甘さが少しの青味と共に押し寄せ、
口の中をたちまちに田園風景に変えて行く。

餅もろとも潰された赤エンドウ豆は抵抗を止め餅の弾力に飲み込まる頃、
ようやく餅が切り離されて「「豆大福」は完全に分断される。
瑞々しい潤いを湛えた端面からキラキラと光沢が零れ輝き、
伸ばされた餅達が再び締まり始めて元居た場所への収束を始める中、
粒餡はその餅に包まれながら癒着する噛み口の隙間からその淡い色調を覗かせる。
一方口内の半身はまるで真綿の塊の様に咀嚼を試みる顎の力を吸収し、
餅を融解する為の口内水分は「豆大福」表面に残った片栗粉に吸収されていく。
餅が発揮する強力なコシは平素の咀嚼では太刀打ちできない程な上に、
その餅を内部から支える圧倒的な存在感を発揮する粒餡の力量。
両者の密度の高さが口内の水分が入り込む隙を与えず何時までもモッフモッフとした食感を保ち、
意を決し咀嚼をすればその姿を柔軟に変容させニュルリと奥深く隅々まで侵入する。
そしてその咀嚼の度に砕かれた赤エンドウ豆からは濃厚なコクが発せられ、
ソレ呼応するように粒餡からは濃厚なアズキの風味が発散される。

その二つの風味をまとめるサッパリとした粒餡の甘さは、
モッタリとした重さを感じる濃密な舌触りで、
少々舌で突いたところでビクともしない程に結束力が高い。
なのにその口当たり自体は滑らかできめが細かく、
ヌルリとした伸びの中でアズキの皮が主張する僅かな時間が、
これが粒餡であった事を認識させてくれる程である。
今なお強力なコシを発揮している一方で自身は、
かなり抑えた風味でいる餅が両者を引き立て全体を取り纏めている。

「ニコニコ家」の「豆大福」は約54㎜と一般的な大きさながら、
その外見の割に手にした時の感触や餅から発せられる強靭なコシや、
餅に取り込まれた赤エンドウ豆が噛み砕かれる事やモッタリとした粒餡の重さは、
この「豆大福」の備えた能力が如何無く発揮したあらわれである。
それは少しばかり開けにくいビニールの包みを少々ぞんざいに扱っても、
いささかの影も落とす事は無い能力である。



ニコニコ家
東京都世田谷区世田谷1-24-12
10:00~20:00
火曜 定休
駅を出たら都道3号線を越えて更に進んだ先にある世田谷通りを渡り、左折した先にある歩道橋手前。