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首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

銀座あけぼの 銀座本店【銀座@東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線】

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白玉豆大福(つぶあん・こしあん):216円


「銀座あけぼの 銀座本店」の「白玉豆大福」の大きさは約52㎜。
チョッと見はドアノブカバ―の様な風体をしたその表面にはボコボコと赤エンドウ豆が突出して、
そこに全体へうっすらと塗された片栗粉が粉末オブラートの様に細かな光沢をキラキラと放っている。
そんな表面のつるりとした質感に対して周囲に残る形成跡は中々に艶めかしく、
少々たるんだ様なだぶ付き具合がその上にかかった片栗粉によって更に浮き彫りにされている。
多分に肉感的になったその姿はまるで駿府城に現れた妖怪ぬっぺらぼうの様で、
そのままペタペタと歩み出しそうな佇まいに映し出された手作り感こそが、
コチラ「銀座あけぼの」の理念の顕れであると勝手に解釈する。
そんな不思議空間を醸し出す「白玉豆大福」をヒョイと摘まんで持ち上げると、
シッカリとした重さが指へ掛かり反面でその感触はふんわりとしていて柔らかい。
そしてその奥底にあるハリの強さが隠し切れないまま発露して、
指先をしっかりと捉えてしっくりと密着して中空での己の体勢安定を図っている。
そんないろんな方向でファンシーな空気を醸し出す「白玉豆大福」の、
先ずは“つぶあん”の方を無心のまま横っ腹から齧り付いてみる。

口一杯に頬張った「白玉豆大福」はその全てを餅に変えた様に口内に貼り付き、
アリの子一匹どころか空気が漏れる隙間も無いほどの密閉力を発揮して、
急いで咀嚼しようとする顎の力を無効化していく。
全体に分厚くキメも細かく潤いも豊富な餅は強いコシと圧倒的噛み応えを誇り、
その上にほんのりとした甘さとミルクの様な独特の風味を保持している。
強引に喰いちぎって引き離す時も強固な抵抗力を発揮して、
強行に引っ張っても容易く伸びる事は一切無く途端にブチッと千切れてしまい、
コレこそが白玉効果の発露なのかソレは“餅”というよりは“皮”といった感じに近い。

そしてそこに埋もれている赤エンドウ豆は硬くゴリゴリとした食感を発揮し、
コチラもまたほんのりとした甘さが舌に広がって来る。
蜜漬けか甘露煮を連想させるそのキッチリした甘さは赤エンドウ豆が砕ける度に発散し、
強靭な餅のコシの渦に飲み込まれていく間際までシッカリ漂わせている。

その口内を力で支配して行く餅の強大な力の前に何とか咀嚼をしようと抗うも、
甘い風味を湛えた餅は今だ口内に密着したままその空間を支配下に置く。
成す術が無いままフニフニと力無く押し返す位の抵抗しか示せすにいると、
その僅かな抵抗を逆に利用されて中からドッサリと粒餡が押し出される。
モッタリと重く粘り気も強い粒餡はサッパリとした甘さに反して、
そのアズキの豊かな風味と強力なコクを濃密に湛えた仕上がりである。
そのザラリと粗目の舌触りを残したまま次々に粒餡が隙間へ入り込み、
やっと生じたスペースを足掛かりに咀嚼を開始すると、
次第に口の中で2種類の異質な甘さが絡み合い始める。
そして噛んでも噛んでも歯応えを失わない餅に耐えきれなかった喉が嚥下行動を起こし、
まだまだ余力を残した餅を緩くなり始めた粒餡共々飲み込む時、
己の咀嚼力の脆弱さを恨めしく思うのであった。

再戦を果たすべく挑んだ“こしあん”との一戦もまた同様に、
口内に貼り付き周囲に密閉空間を構築した餅が顎が行う抵抗力を利用して漉し餡を口内へ送り出す。
コチラもまたモッタリと重たくネットリと柔らかい仕上げの一方で、
キッチリ甘いが引きも良い豊潤な甘さを湛えた滑らかな舌触りがある。
その押し出された大量の漉し餡がある程度の塊を形成しつつ、
ベタリと口内のアチコチに貼り付き隙間と空間を埋めて行く。
すると進退極まった餅が終始ソコに留まって咀嚼を受け止めている間、
口内の水分と融合し始めた漉し餡が潤滑油の役割を果たし、
噛み付こうとする歯の力をヌルリと次々に受け流していく。
そしてまたしても耐えきれなかった喉が嚥下行動を起こし、
まだまだ活気と余力を残した餅を漉し餡と無念さと無力感と、
全てひっくるめて飲み込むのであった。


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丹波黒豆大福(こしあん):302円


『銀座あけぼの 銀座本店』には「丹波黒豆大福」という商品もある。
大きさは約50㎜で、こんもりと高さがある。
頂が丸い円柱型の姿は、出来たばかりの石筍に似ている。
表面には幾つも低い台地があり、ゆったりと起伏を造りだす。
その下には大地の面積分、ぼんやり黒い影が見える。
薄く伸びた餅を行儀よく被り、黒豆が静かに身を潜めている。
それが「丹波黒豆大福」を埋め尽くす。
表面積上で、黒は白を上回っている。
それ程「丹波黒豆大福」は、たくさんの黒豆で溢れている。

ソレに被さる餅は灰色が濃く見えるが、
黒豆の影を巻いて浮かぶ、少しの白味が本来の色だろう。
ゆったり全体を包む質感には、糊の様な透明感が浮く。
だが糊とは違い水気は無い。
柔らかな餅の表面には、薄皮の様なハリがある。

そのハリの上には片栗粉が塗されている。
澄んだ白が黒豆の影も、餅の色味も薄く曇らせる。
厚みは無いがムラも無く、繭玉の様に柔らかく毛羽立つ。
起立した片栗粉が光を反射し、それが影を生み立体感を作る。
それが泡粒みたいに寄り集まり「丹波黒豆大福」を包む層になる。

静かに指で摘まむと、カサカサ音を発て片栗粉が倒れる。
その下で餅は指先を避ける様に大きく窪む。
表面のハリが緊張を保ち、柔らかな内部は緩やかに流動する。
押し退けられた場所を中心に、クレーターが出来る。
更に沈下を進める指先が、硬い感触に突き当たる。
黒豆の大きくなだらかな曲面が、指先を滑らせ受け流す。
試しに別の場所を摘まんでも、やはり黒豆に阻まれる。
何処を摘まんでも黒豆が現れる。
摘まみ上げると「丹波黒豆大福」は、スッと形を変えずに持ち上がる。
底部からハラハラ片栗粉を降らせ、何時までも丸いままでいる。
重さはズンと指先に掛けて、ゆっくり餅をたわませる。

口に含むと片栗粉が薄布の様に唇を覆う。
すかさず餅が弾力を発揮する中で、直ぐに「丹波黒豆大福」は伸される。
ハリを保ち唇を覆う餅の下で、石畳の様な黒豆が待ち受ける。
餅はハリと弾力を保つ中で、塊同士がぶつかり合う。
右往左往する黒豆を押し退けて、上下の餅が背中合わせになる。
ソコに前歯を振り下ろすと、餅はブリンと震え、一気に切れ目が走る。
餅を切り裂いた前歯は、勢いに乗り全てを分断する。
中に潜む黒豆はヌルリと滑り、中心の餡子は霞を噛む様に、前歯を撫でる感触を残す。
しかし餡子の中で、再びヌルリと粘度の高い食感が現れる。
直ぐに口一杯に黒豆特有の風味と、まろやかな甘さがが舌を包む。
その後を追う様に抑えた甘さと、アズキの優しい香りが沸き立つ。

噛み口を見ると“こしあん”に、艶を湛えた漆黒の輝きがある。
分断した「丹波黒豆大福」が跳ね返り、口一杯に広がる。
隅々に密着する餅を押し込むと、黒豆がゴリゴリ当たり餡子を押し出す。
舌の上にゴロンと黒豆が飛び出す。
柔らかい仕上がりで、押し潰すとネットリ広がる。
そこから広がる甘さと風味は、お正月の記憶を呼び覚ます。
万人が食べ慣れた伝統的な黒豆である。

そしてシットリ重たい餡子がその上に倒れ込む。
粘り気の少ない“こしあん”が、水気を得て蕩けだす。
落ち着いた甘さと上品な風味が、黒豆のコクを一層際立たせ舌の上で絡み合う。
そして“こしあん”の中に潜む黒豆が、更なる追い打ちを掛け潰れて伸される。
だが、そんな冴えた甘さの釣瓶打ちにも、“こしあん”の風味は曇らない。
ジワリと湧き出る様に甘さを絶やさず、舌の周りに漂い続ける。

それをネットリ粘り気が増した餅が押し潰す。
伸びと粘りを発揮する中で、最初から甘さを押し出している。
噛み続けて水気が増すと、米とは一味違った風味が漂う。
その三者が醸し出す独特の甘さが、個性を保ちながら口の中に満ちて交わる。
際立つのは黒豆だが、支えるのは餡子で、包み込むのは餅である。
そのバランスを見失わないまま、喉の奥までネットリ広がる。
突進する粘り気を導き、胃の中へ飲み下すと、最後は“こしあん”の舌触りが支配する。

黒豆の個性が発揮される舞台を、餡子と餅で整える。
だが最後はやはり、餡子が締めて大団円となる。
老舗の手筈にまんまと乗って、口の中に広がる甘い光景に浸る。



銀座あけぼの 銀座本店
東京都中央区銀座5-7-19
平日 10:00~21:00
日祝 10:00~20:00
年中無休
A1番出口すぐそば。