読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

首都大福東京

TOKYO METROPOLITAN DAIFUKU

首都大福東京

和菓子処 今木屋【つつじヶ丘@京王線】

f:id:tokio_daifuku:20150621213102j:plain

豆大福(つぶあん):120円


「和菓子処 今木屋」の「豆大福」は全長が約50㎜で高さもあってこんもりと丸っこい形をしている。
表面には幾つもの赤エンドウ豆が突出していて、
それはまるで「豆大福」の中から赤エンドウ豆が造り出されている様な錯覚を覚えさせ、
「豆大福」の深層部から中層部を抜け表層部まで押し出され遂には餅の表面へ放出される。
そんなプロセスが想像でき位に餅の異たる所に赤エンドウ豆が混在していて、
挙句その量が結構な数になっているのがハッキリと目視できるのである。
加えて「豆大福」に塗された片栗粉の量が少ないので、
餅と赤エンドウ豆のコントラストが水墨画の様な鮮やかを湛えている。
だからといって片栗粉が機能していない訳でも無く、
ビニール袋から取り出す際もシッカリと餅を保護し、
無暗な粘着を誘発する事無く手の平へコロリと転がり出てくる。
その際に片栗粉が剥離する事は無く何時までもサラサラとしたさわりの良さを発揮する。
摘まんでみると餅は十分なハリを湛えたままシッカリと指先にフィットして、
「豆大福」の丸っこい形をいささかも崩す事無く優先とした姿で佇み、
自身から発するこの季節にしてはヒンヤリし過ぎな冷気を指の腹へ伝えて来る。

そんなまさに氷玉の様な色味と質感に加え冷感まで備えた「豆大福」を、
早速一口齧り付いてみると綿の塊を食むような芯のある柔らかさの果てに、
餅の表層に食い込んだ前歯に伝わるムニュリといった感じの歯応えを残して「豆大福」は両断される。
口内には餅のツルリとした触感と赤エンドウ豆のゴツゴツした質感が同時に伝わる。

そのハリを裏付ける様に周りを覆う餅は十分な厚みを保持しており、
水気も十分に保持していてその噛み口には水脈の様な光跡を作り上げている。
一方で餅の自体にはほのかな透明感があり無機質な質感を見せるも、
クニクニとした食感や噛み続けるとジワリと舌に染み渡る甘さはとこまでも有機的である。
かつ、奥歯の間でフルフルと震えながら咀嚼の衝撃を受け流すコシもまた見事であったりする。

方や硬めに仕上げられている赤エンドウ豆はグシグシと噛み潰れる水気を含んだ噛み応えで、
そこから赤エンドウ豆のコクと風味が濃密に滲み出す。
ソレをしばらく噛み続けるとじんわりと甘さが現れ出しさらに濃密さを増し、
種皮と子葉部分との差少なく最終的には全てがモロモロとした食感へ回帰を果たす。

そんな両者共に強い自己主張に耳ならぬ舌を傾けていると、
噛み口よりはみ出してきたネットリとした感触の餡が両者の間へ割って入り、
たちまちの内にその濃厚なアズキの風味としっとりとした甘さで口内を満たしていく。
ネットリと密度の高い舌触りの粒餡には水気が少なく、
餡でありながらモチモチとした感触を生む。
濃厚なアズキの風味と同時に口内へ広がる甘さは、
一口目から一気呵成に広がり直ぐに口内の一斉鎮圧を完了させる。
しかしその後二口目からは一転して穏やかに甘さの伝道に努め、
粒餡の風味に寄り添いながらその芳香を根底から支えている。

モグモグと咀嚼を繰り返すとつるりとした餅の書かで硬くて丸い小玉たちは次々に砕け、
なすすべないまま餅の柔らかな混沌の中へと取り込まれていく。
その餅は周りに渦巻く餡に対抗する様に徐々に甘さを増し始めるが、
今やシッカリと水気を得て緩やかな舌触りとなった餡の揺るぎない甘さに絡め取られる。
滑らかでしっとりとした舌触りの中につるりとした感触が幾度となく口内を撫でた後、
そのつるりとした質感のまま喉の奥深くへと流れていくのであった。

「豆大福」を構成する全ての素材がほんのりと甘さを湛えていて、
ソレらが交わってもその“ほんのり感”がぶれる事無く一貫した芯となっている一方で、
素材の食感はそれぞれが個性を主張するという両者のコントラストもまた絶妙なのである。





和菓子処 今木屋
東京都調布市西つつじが丘3-25-11 今木ビル1F
9:30~19:30
水曜 定休
北口から線路沿いを進んだ踏切の交差点の右斜め前。